若草山は昔、若草山と三笠山と二つの呼ばれ方をしていました。三笠山は形の通り三つの山がつづら折りになっていることからそう名づけられたのですが、すぐ向こうに見える御蓋(みかさ)山がありよく混同されていました。御蓋山は春日大社の神が下りた地として神域になっており、木の伐採が許されず春日山原始林として世界遺産にも登録されています。一方三笠山(現若草山)の方は木のほとんどない芝生の山と対照的です。
江戸時代末期の古地図には「若草山」と記載され、この頃には「若草山」の名前の方が一般的になったことがうかがえます。 |
山焼きの由来は、春日・興福寺と東大寺の領地争いがもとだと言われているようですが、これはうわさや都市伝説的なものです。東大寺の記録によると山頂にある鶯塚古墳は江戸末期までウシ墓と呼ばれ、ここから幽霊が出るという迷信が続いたようです。しかも草山を翌1月頃までに焼かなければ翌年に不祥事件が起きるといった事で通行する人がむやみに放火し、その炎が東大寺境内まで延焼する事件が再三起きたといいます。
元文三年(1738年)12月に奈良奉行所は放火停止の立て札を、枯草が青芝になる正月から3月頃まで立てました。それでも放火事件は収まらず、犯人も検挙されず、奈良奉行所も諦め、いつからか誰が焼くともなく焼かれるようになりました。 |
| 以前は昼間の行事でしたが、明治33年以降に夜間行事となったようです。さて、祭りの手順はと言うと、まず聖火行列が水谷橋のたもとから奈良法師が春日大社の聖火より松明に火を移し、聖火行列がスタートします。これ実は県庁の職員さんが東大寺、興福寺、春日大社に特別に衣装をお借りしているそうです。普通、僧侶、神官が直接、松明を持つことはあり得ません。あくまでもお祭りを盛り上げる為の儀式です。行列が若草山山麓の野上神社に到着後、山焼きの無事を祈る祭典が春日大社の神官(本物)によって行われます。 |

そしてこのあと5時50分になると若草山一重目の上より花火が打ち上げられます。約200発ですが、実際の発数は毎年の寄付の金額で変わっているようです。冬の夜空は空気が澄んでいるのか花火はとても綺麗に見えます。
特別に許可を得て山焼当日立ち入り禁止になっている山頂からも撮影しました。夜景がバックになっている花火もいいものです。逆から見ると、この花火をどれだけの人が眺めているのだろうとふと考えてしまいました。 |
6時になると号砲が打ち上げられ、消防団員の人たちがラッパを鳴らすと一斉点火です。面積33ha周囲3.8kmの山の各部署に配置された消防団約300名や県職員の方々による点火が開始されます。普段消火にあたる消防団もこの日だけは、逆の立場です。
晴れの日がしばらく続いていると約10分ほどで火の海になります。山の下から、風を巻き込むように轟音を響かせススキの枯草が燃えあがっていきます。若草山にいる鹿は最初の号砲に驚いて逃げていきますが、残った鹿も野生に近いので火の中を飛ぶように跳ね、急斜面を平気で移動していきます。 |
炎は風にあおられ10mほどの高さとなり迫力があります。今までの経験上西から東に風吹いていれば少々雨降って湿ってても燃えるようです。よく消防団が灯油まいているんじゃないかって噂がありますが、それだと煙が真っ黒になってしまいます。あくまでも自然に燃え広がっているのです。
写真は、よく見る多重露光の山焼きの写真です。ポスターに使われるので、かなりの人によく一気にこんなに燃えるのかと聞かれますが、それだと消防団が逃げられなくなってしまいます。これは徐々に燃えているのを重ね合わせているのです。写真は遠くから撮影するので、実際にこの場所から見ると迫力はありません。御注意ください。
観光客に山焼きの感想を聞くと、麓から見ている人は良かったと言い、遠くから見た人はこんなものかと言います。なので初めて見に来られる方はぜひ若草山の麓から見ることをおススメします。 |
[本ページの写真は公園管理事務所の許可を得て撮影したものです]
- 開催日
- 1月第4土曜日(雨天順延) 基本的に日程は毎年関係者の会議で決められています。
- 場所
- 見学エリアは若草山麓、浮雲園地、飛火野あたりが迫力あります。
- 料金
- 若草山焼き当日の入山料は無料 通常大人150円
- 備考
- 2時以降交通規制がかかります。帰りも大渋滞覚悟です。なるべく車で来るのはやめといた方が良いでしょう。
- 駐車場
- 春日大社駐車場 駐車料金1回普通車 1,000円(午前中でほぼ満車)
登大路駐車場(南) AM6:00〜PM10:00 (出庫は深夜12時まで可) 駐車料金1回普通車 1,000円
- お問合わせ
- 奈良公園管理事務所 TEL 0742-22-0375
※拝観料や入場料、時間などの情報は変更になっている場合がありますので、お出かけの前に事前に各社寺や観光センターにお問い合わせ下さい。