唐招提寺 うちわまき
唐招提寺 うちわまき 写真
 ここ唐招提寺は井上靖さんの小説「天平の甍(いらか)」で有名です。「天平の甍」は唐の高僧、鑑真和上が幾度の困難を乗り越え日本にやってくる苦難の道が書かれています。クライマックスでは唐から送られた鴟尾(しび)が金堂に付けられます。この鴟尾とは大きな建物に取り付けられる飾りの事で、これがいわゆる天平の甍になります。実際に天平時代の物が西方に取り付けられていました。小説とは異なり日本で作られた物だったようです。ただ、現在は2000年に始まった金堂の平成大修理で本物は新宝蔵に保管されることになり、替わりにレプリカが取り付けられています。
唐招提寺 うちわまき 写真
 奈良時代、平城京では僧になれば重い税金や課役を免除されることから、苦しい生活から逃れる為に僧になるものが多くいました。しかし正式な僧になるには仏教の規範になる戒律(かいりつ)が必要だったのですが、これを行える徳の高い僧が日本の仏教界にいなかったのです。そこで聖武天皇が唐から僧侶を連れてこようと考え遣唐使を派遣します。だが当時の航海は困難を極め、命を落とす危険性がありました。当然日本みたいな遠い国に来てくれる僧侶もなく、最後の頼みとして大唐国揚州大名寺の高僧「鑑真和上」に懇請しにいったのです。
唐招提寺 うちわまき 写真
 鑑真は多くの弟子に「誰か日本に行くものはおらぬか」と問うのですが、誰も名乗りでようとはしません。そこで鑑真は自らが行くことを決意します。当然、弟子達は猛反対するのですが、鑑真和上は「お前達はなぜ御仏の教えを広める好機に命を惜しむのか」と言い反対を押し切ります。
  その後も困難は待ち受けていました。当時、唐では国を出る事は法を犯すことになり、しかも100回に1回しかたどり着けないとされた難しい航海でした。弟子の密告、嵐による座礁など様々な困難を乗り越え6度目の航海でようやく日本に上陸したのです。
唐招提寺 うちわまき 写真
 最初の計画から12年の月日が流れ鑑真和上は疲労でほとんど目が見えなくなってたと伝えられています。
  日本に到着後は東大寺に住まいを置き、多くの僧に戒律を授けます。その後天武天皇の皇子新田部親王の旧邸地を賜り戒院をここに建立します。これが唐招提寺の始まりです。唐とは「広く」、招提とは「四方の人々」の意で、「仏教を修学する人々が広く四方から集まる僧伽でありたい」という和上の願いが、寺名の由来となっています。
唐招提寺 うちわまき 写真
 鎌倉時代に入ると、唐招提寺は戒律を授ける僧がいなくなり廃れていきました。そこへ覚盛(かくじょう)上人が唐招提寺に入り廃れていた戒律の復興を唱えます。そして覚盛は仏前の前で自ら受戒する自誓受戒(じせいじゅかい)をします。鑑真の再来とも言われ多くの功績を残します。特に覚盛は当時救済しがたいとされた女性の救済にも力を傾けました。これがうちわまきに繋がっていくのです。中興堂の覚盛上人の座像は5月19日に公開され、うちわまきのこの日に拝顔することができます。どんな人だったかぜひご覧ください。
唐招提寺 うちわまき 写真  さて、うちわまきの由来ですが、覚盛上人が修業中に蚊にさされているのを見かねて弟子僧が蚊を叩こうとしますが、覚盛上人は弟子を制止し、「生きとしいけるものはなんらかの施しで支えられている、蚊に自分の血を与えるのも菩薩行である」と言ったと伝えられています。
 覚盛上人が亡くなった後、上人の教育を受けた法華寺の尼僧たちが「これでせめて蚊を追い払って下さい」霊前にうちわを供えました。そのうちわを仏教の教えを聞きに来た人に授けたことに由来します。今では命日にあたる5月19日にうちわまき会式(中興忌梵網会)が行われるようになりました。鎌倉時代から続けられている行事で、何千本といううちわが参拝者にまかれます。
唐招提寺 うちわまき 写真
 うちわまきは、国宝「鼓楼(ころう)」の上からまかれ、下で参加者がそれを取ります。これがすさまじい取り合いで、当然うちわもボロボロになってしまいます。お年寄りや子供は危険ということで、男・女子供を分けられるようになりました。またうちわまきに参加できない人や、キレイなうちわを持って帰りたい人は売店で1000円で販売されているのを購入できます。ただ、取ればタダ!という観念がどうしても働いてしまいます。できたら、譲り合いの精神で1本取ったら退くという心の余裕を待ちたいところです。
  また当日は各界有名人直筆のうちわも展示されています。今年は誰が書いているのかこれを見るのも一つの楽しみです。
唐招提寺 うちわまき 写真
 今年も又1本覚盛上人の徳をたたえたハート型のうちわを授かりました。形からまさに尼僧達から覚盛上人向けての愛だなと思います。このうちわは、病魔退散や魔除けのご利益があるといわれています。うちわまきは金堂の平成大修理で縮小されていましたが、2010年くらいからは通常に戻すようです。
  阪神大震災の後、早急に修理が必要と判断され10年かかって解体修理され新しくなった金堂、入口参道から見る金堂は唐招提寺を象徴する姿です。この天平文化の面影をまた後世に伝えていくことでしょう。
情報
  • うちわまき
  • 5月19日 
    PM1:00〜 梵網講讃法要 於講堂・舞楽奉納 於講堂前 南都晃耀会
    PM3:00〜 うちわまき
    雨天の場合、配られる場合があります。詳しくは唐招提寺のホームページをご覧ください
  • 拝観料
  • 大人600円 中高生400円 小学生200円
  • 駐車場
  • 駐車場料金500円 うちわまき当日はいっぱいになります。
    その場合薬師寺駐車場から歩く事になります。
  • お問合わせ
  • 唐招提寺 TEL 0742-33-7900
地図・アクセス
新薬師寺マップ
アクセス方法
近鉄西ノ京駅より徒歩10分
関連リンク
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※拝観料や入場料、時間などの情報は変更になっている場合がありますので、お出かけの前に事前に各社寺や観光センターにお問い合わせ下さい。
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作成日 2009年05月25日
最終更新日 2010年05月20日