鹿の角きり
鹿の角きり 写真鹿の角きり 写真
 鹿のオスはより自分の子孫を残すために、角を木の幹などで鋭く砥ぎ、他のオスとの争いに備えます。しかし、昔はその鋭い角で人が怪我をしたり、鹿同士が突き合って死傷したりすることが頻繁にありました。そこで1671年に当時鹿の管理をしていた興福寺が奈良奉行立会いのもとで始まったのがこの角きりです。
鹿の角きり 写真
 当初は、ならまちの町民が家の格子ごしから観賞できるほど、民家に近いところで行われていました。鹿苑で行われるようになったのは、昭和3年からのことです。明治・昭和の戦争時には一時中断されたこともありますが、代々受け継がれ現在に至っています。
  角きりはまず最初に春日大社の宮司さんなどが参加し安全祈願祭がとりおこなわれます。角きりを実際に行う勢子(せこ)さんが鹿苑内に整列し、怪我のないように祈ります。全員で25人程いて、長い人で40年以上やっておられる方もいるのだとか。
鹿の角きり 写真
 まず鹿苑に角鹿を3頭入れスタートです。勢いよく走りまわる鹿を勢子さん達が横一列に並び竹の棒を使い進路を誘導します。鹿は苑のふちを猛スピードで駆け抜けてゆくのですが連携がうまくいってないと、この勢子さんと勢子さんの間をすり抜け嘲笑うかのように逃げ回ります。
  この突進してくる立派な鹿の角を見ると野生を実感させられます。鹿の角は年齢により変わり最高で三又四先(枝が四本)で8歳から12歳頃が最も大きくなります。ちなみに角切りは角の大きくなった鹿だけ参加し、角の小さい鹿は公園で切られるようです。
鹿の角きり 写真
 追い詰められた鹿の進路の先には、十字と呼ばれる捕獲具を持った勢子さんが待ち構えています。竹を十字に組みロープを木の端に巻きつけたものでこれをタイミングよく鹿の角目指して投げつけると、ロープが角に絡まり竹の十字は外れます。そしてそのロープを手繰り寄せて鹿を抑えつけます。以前はロープは使わずに素手で角を捕獲していたのですが、それは相当、危険な上に根性いる技だったと思います。
鹿の角きり 写真
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 上の写真はロープが絡まった瞬間の連続写真です。勢いよく走っているのが急に止められるのですが、バランスよく体勢を整えます。この後もロープをつけたまま逃げ回るのですが、弱ってきたところでロープを掴み苑内の柱にたぐりよせ動きを封じます。雄鹿の体重は約80kgありそれが暴れるので、数人の勢子さんと鹿との綱引き状態がしばらく続きます。
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 柱で動けなくなると、勢子さんが素手で鹿の両角を押さえます。鹿の方向や動きを考えてするこの作業が一番難しいらしくベテランでないとできないようです。角を持った人が後ろの勢子さんに指示を出して指揮します。まず鹿の腰をかかえ後足を封じ、次に前足を十字にクロスして持ち完全に動けなくします。すばやくやってやらないと、鹿が自分で角を折ってしまったりするので、しっかり保護してやる必要があります。万一鹿が負傷した場合はすぐに待機している獣医さんの元へ運ばれ治療されるようです。
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 このあと動けなくなった鹿を枕付のござの上に数人で運ばれます。1年に1回だけ鹿が枕に寝る日です。このとき鹿がかなり興奮している為、水を飲ませ気を静めます。そして烏帽子、直垂姿の神官に扮した鹿愛護会の職員がのこぎりで50cmほど伸びた角を切ります。結構固くのこぎりの刃が折れていました。
  角の切られた鹿は、いちにのさんで、勢子が離れ苑に放たれます。勢いよく鹿が飛び上がり慌てて鹿苑の出口から出て行きます。そしてあとで公園内に戻されます。
鹿の角きり 写真
 切った角を会場に見せると拍手が沸き起こります。この後切った角は神前に供えられます。角きりは1日約15頭〜20頭、3日間で約50頭の角が切られます。昔は5日間で約150頭の角を切ったこともあるようです。この角は元々ほっておいても自然に抜けおち、1年に1回生え変わるのですが、鋭くとがった角の鹿が行楽シーズンの奈良公園にいると危険です。人と鹿が共生する奈良公園で安全管理という点で必要なのかもしれません。
[本ページの写真は(財)奈良の鹿愛護会の許可を得て撮影したものです]
情報
  • 角きり会場
  • 春日大社参道横にある鹿苑(ろくえん)内
  • 角きり開催日
  • 10月2週目の(土)(日)(祝)頃、日が近くなると鹿の愛護会から日程の発表があります。
    雨天中止の場合があります。
  • 角きり開催時間
  • PM12:00〜PM3:00(入場PM2:30まで)
  • 入場料
  • 大人(中学生以上)1000円 小人(4才以上)300円  
    団体(20名以上)大人 800円 小人 250円 (2008年時点の料金です)
  • 駐車場
  • 春日大社駐車場を利用。 AM8:00〜PM10:00  乗用車 1,000円
  • お問合わせ
  • 財団法人鹿愛護会 TEL 0742-22-2388
地図・アクセス
鹿苑地図
アクセス方法
JR・近鉄奈良駅より奈良交通バス「春日大社表参道」下車、徒歩5分。
関連リンク
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※拝観料や入場料、時間などの情報は変更になっている場合がありますので、お出かけの前に事前に各社寺や観光センターにお問い合わせ下さい。
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作成日 2008年10月07日
最終更新日 2009年10月28日